不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

『探偵はBARにいる2〜ススキノ大交差点〜』観た。ちょっと泣けた。

http://www.tantei-bar.com/

封切りから1週間、ようやく映画館へ足を運べた。
足を運んで良い身分かどうか分からんけどな。

午後から降るとかで早起きし。
100席ほどの小さ目の劇場は朝一番だったが
最終的には7割ぐらい埋まっていたかな。

左右の落ち着きのない客のため散々な鑑賞環境だったが
後半は結構、集中して見入った。



以下、ネタバレあります。


今回のテーマは
「人を信じろ」そして「迂闊に信用してはいけない」だな。
仲間に裏切られた探偵の気持ちは察して余りある。
しかし今回は、依頼人を守り切った。


全般に、探偵の根城・ケラーオオハタは賑やかだった。
お客さんが結構いたし、マスターの他に店員が一人増えていた。

雪のないすすきのを撮るのが今回のテーマだったとか。
撮影した季節のためか、舞い散る粉雪が若干スノーマシーンっぽかった。
大人の町・ススキノに私が訪れることは無いだろうが
ニッカの交差点にはもう一度、立ってみたい。

アクションシーン・乱闘シーンが(も)パワーアップされていた。
前回はボコボコに叩きのめされたが、今回はドローに持ち込めたのかな。
ベタな立ち回りは「昭和の映画」っぽくて好きなのよ。
多勢に無勢の中、決して圧勝しない所にリアリティがあるのかな。
普通、金属バットであれだけ殴られたら死ぬけど。

豪快な空撮が2回(室蘭への行き来と、大通公園の演説の場面)あった。
(もっとあったかな?)
空撮自体は全然珍しくないが「映画だな〜」という感じがした。
緊迫感の連続する中で緩和を誘う映像だし
北の大地の美しい景色(紅葉と初冬かな)を堪能できた。

大泉さんお望みのお色気シーンも必見。
PG12炸裂だったが、鼻血が出るでもなく喉を鳴らすでもなく
場内は、なぜか若干の笑いも。
シェイカーは面白かったが基本的に生々しくないので
どうしてもコント寄りになっちゃうのだろうね。


以下、例によってパンフレットに走り書きしたメモをもとにした感想。



探偵<俺>(大泉洋
 胃薬(太田胃散?)と缶ピースの画を見て安心する(笑)

 大泉さんは「俳優のくせに芸人を演じている」との評をどこかで読んだが
 どちらかと言えば「話芸に優れた面白い俳優」だよね。

 冒頭の大倉山ジャンプ競技場からの画は、実に札幌と引き込まれる。
 さすがにジャンプ自体は合成丸分かりだったが
 テレマークを入れるあたり(入れてたよね?)北海道人の憎い演出に思えた。

 携帯電話、前作でコンドウキョウコ(沙織)との連絡のために買ったが
 前作のカットされた部分で役に立たなかったので、再び持たなくなったとか。
 ハードボイルドの矜持らしいが、主義主張に凝り固まっているソビエトに似てるね。
 あと、高田を呼べないとか危機管理という面で、どうなんだろ。

 着替えやサウナでの鍛え上げた肉体を惜しげもなく晒す着替えや
 室蘭での七変化の変装は、監督・脚本家から観客(子猫ちゃん)へのサービスカットかな。
 その美しい裸体の左脇腹の傷痕が気になった。
 前作では刺されていないので、昔の仕事で深手を負ったのかな。
 ま、今作で弓子に刺されたけど。

 格闘シーンなど大半は吹き替えなしだとか。
 大泉さんも既にチーム40に加入したのに、よくやるな。
 「パート3」は、犯人を追い詰めての真冬の大雪山登頂だな。

 ガンアクションは演出で狙って、腕を派手にブレされて撃っていたのかな。
 そりゃ当たらんわという感じだったが、そこはお互い様か。

 中盤の、室蘭の観光ガイドでは、水族館で楽しむ3人が印象的だった。
 本編とは殆ど絡まないし、何のためのイメージカットなんだろ。

 前作のラストカットの、探偵がオメガを眺める画でじわっと泣けたが
 (「時計をとめて」のBGMも良かったし)
 本作は全部、弓子にカッ浚われた。


高田(松田龍平
 前作以上に、探偵の護衛(いつも少し遅い)に徹していた感じ。

 前作でも「バーボンソーダ。あと、おかきも」と注文していたように
 開拓おかきの宣伝マン。
 高田号にも常備しているとか。

 その高田号、前作の最後に買い替えを提案されていたが、してないね。
 本作でも提案されたが、頑なに拒否ってた感じ。
 あまり貧乏には見えないが、パート3でオロチとかに乗ってたら引くな。

 オカマバーでの戦闘シーンでは、ついに撲殺されたと思ったが
 (金属バッドで至近距離フルスイングだもの)
 死んだらパート3は無いと分かっていながら、嘘のような奇跡の復活に安心。
 さすが空手の師範代!と、場内も大爆笑。
 次回は、拳銃の弾すら手刀で弾き返しそう。

 室蘭のカーチェイスは自らハンドルを握ったそうで
 大泉さんとオノマチさんは、本気の雄叫びだったそうだが
 カメラアングルや佐山の形相もあり、迫力のある楽しい場面だった。


河島弓子(尾野真千子
 オノマチ大好き♪
 超可愛い♪

 東映の精鋭制作陣が集う作品なら、もっと可愛く撮れるだろが?
 と、無駄に毒づいてみる。

 原作にはない、映画オリジナルのヒロイン。
 美人?バイオリニストなので「弓」なのかな?

 関東人は、関西弁が嫌いなので、作品の評価に直結するので痛し痒しだが
 元関西人の私、ネイティブの発音に納得した。
 スマートな標準語以外の言語が飛び交うと、人情世情な浪花節になるので
 ハードボイルド色が薄まる気がしないでもない。

 弓子のガサツさは、東京人が考えそうなステレオタイプな関西人で萎える。
 それを堅実に(いや自然に)演じるオノマチ、健気やなあ。

 私も稀に、関東人とのイントネーションの違いを指摘される。
 ほっとけや。

 実はマサコちゃんの妹で、兄(姉?)が演奏活動のスポンサーだったとはね。
 この設定は「ありがち」らしいが、やっぱりきょうだいってイイよね。
 大事にしないとね。

 『亡き王女のためのパヴァーヌ』の選曲は、兄(姉)を想ってのことかな。
 演奏は吹き替えなしの本人の演奏だとか。
 若干「?」という音程もあったが、大観衆を相手にキリッと弾いた。
 すごいな。

 ケラーオオハタでの涙は、思わずもらっちゃった。
 朝ドラ『カーネーション』でも結構泣いて怒ってしていたと思うが
 時代も役柄も異なるので、ドキッとした。
 今日のお客さん、女性も結構いてて、同じような感じだった。

 あと、カクテルグラスを指先で撫でる指の姿勢が良かった。

 前回のヒロイン・沙織(小雪)は、手の届かない美女で地面から浮いた存在だったが
 今回は、地に足の着いた異次元の存在が、すすきのの濃密な人間関係の中に踏み入れることで
 作品の幅がグッと広がった感じ。
  ↑
 自分で何言ってるか分からんが、要するに親近感ってことだ(笑)



マサコちゃん・常田鉄之輔(ゴリ)
 室蘭出身なので「鉄」なのかな。

 弓子の兄(姉?)でパトロン
 唯一の家族に惜しげもなく愛情を注ぐ(影ながらだけれど)重要な役。

 MBSよゐこ部』で映画を撮った時に熱弁を奮っていたと思うが
 さすが個性派芸人俳優だけあり円熟味のオカマっぷり。
 実生活でも家族を持ち、同い年に見えない立派なおじさん。

 橡脇と対面した画だけでも満足した。

 オカマジックは、指導者が感心する程の本作の見せ場。
 確かに特典映像に無編集で収録してほしいね。

 殺された理由が、過ぎたるは及ばざるが如しというのが、泣ける。
 他人の命を異常に軽んじる現代の日本社会や
 出る杭を打つ日本人の精神文化を、軽く軽蔑する脚本に見えた。

 十字架・クリスチャンの設定は、何か深い意味はあったのかな。
 もし重要なアイテムだったら見逃している。

 探偵曰く「すすきので最高の仲間に恵まれた人生」だったとか。
 (セリフうろ覚え)
 私が、不慮の死を遂げても、身辺整理してくれる人はいないなあ・・・。


橡脇孝一郎(渡部篤郎
 渡部さんの演技は、もしかしたら初めて真面目に見たかもしれない。
 前作のように、西田敏行さんや石橋蓮司さんのような重鎮は居なかったものの
 一流の役者さんの醸し出す影のある存在感が良かった。

 反原発脱原発)の流れは時代の要請だが、原作にもあるのかな。
 電力会社はテレビのCMの大口スポンサーなので
 何年後かの日曜洋画劇場では放送されないんじゃないの?

 政治家と後援会ってのは元来、こういう強烈な利害関係者の繋がりだよね。
 探偵を襲撃し続けた支持者(実際はそうではないが)は
 暴力を伴う反韓国・反朝鮮・反中国に通じる
 ベクトルの方向がズレちゃってる人々のように映った。
 (日本が大嫌いな韓国人・朝鮮人・中国人は、私も大嫌いだよ)
 あと
 「子供をダシにして、政治家を通して自己の欲求を公に表明する大人」の構図は
 気持ち悪い〜と匂わせる見事な演出。

 大泉さんとの対決の場面は、殆ど打合せなしの駆け引きだったようで
 重厚感と緊張感に溢れた応酬だった。
 結果的にはシロなのだが「政治家なら人殺しもやりかねん」と思ったのは
 テレビや映画が原因なのか、現実なのか。

 今回も札幌市長(本物)がゲスト出演。


松尾(田口トモロヲ
 東直己先生、そう考えると両刀使い好きだよね。
 前作以上に弱腰キャラという設定だったが
 演奏家とファンという関係に思えた弓子とマサコを繋いだ敏腕記者は健在。
 そうか、パート2で初めてケラー・オオハタに足を運んだのか。
 意外。でも、ああいう雰囲気のオジサン、居そうだよね。
 プロジェクトX


相田(松重豊
 心優しき地元老舗ヤクザ。
 「殺しはしないが生かさない」懲らしめ方って、どんなんだろ?
 なぜかサウナ好き。そして相変わらずの美しい肉体。
 そういえば桐原組の組長(片桐竜次)も、満を持してのご出演。
 前回はお色気写真のみだったよね。
 短時間の出演でもベテランが脇を固めているので映画が引き締まる感じがする。
 こんな風に歳を重ねたいな。


佐山(波岡一喜
 今回も、アクション俳優ぶりを遺憾なく発揮。
 拳銃からマシンガンにパワーアップしていたが
 至近距離からどれだけ撃っても一発も当らないのは、お約束か。
 そして鼻が・・・。


源ちゃん(マギー)
 情報屋。リアル世界にも情報屋って居るのかしら。
 前半は探偵に非協力的で、おやおや?と思ったが、立ち上がった一人。
 結果的には、探偵と同じく「学生」に騙された形で、心中お察し申し上げます。
 『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの丸山役がチラチラしてもう・・・。


学生(近藤公園
 真犯人。
 他人の言うことを鵜呑みにしてはいけない具現。
 殺した理由が「オカマはキモい」だもの。
 探偵でなくても憤る理由だが現実も、人を殺す理由って実はそんなものなのかな。
 人間、嘘を付くと必ずバレる。
 酔った勢いで(酔わせて?)証言がボロが出た展開は面白かったが
 でもさ
 走って逃げ出した時に「交通事故で撥ねられて死ぬな」という展開は予想できた。
 ダメだよ、映画素人に分かるようじゃ。

 後日談・・・
 「ブスな女房」と「出来の悪い息子」は、暴力亭主が死んで幸せに暮らした・・・とさ?


峰子(安藤玉恵
 実は高学歴女優。
 先日のパート1のテレビ放送でも結構カットされていたが
 本作もカットされまくりな気がする、下品な方向に突っ走るエロウェイトレス。
 探偵との間にライバル・弓子が出現し俄然、闘志を燃やすが
 その方向が間違っているので、クスッと笑える。


フローラ(篠井英介
 最初、KABA.ちゃんかと思った。
 wikopediaによると、現代演劇の女形として有名なんだとか、納得。
 脅されたが立ち上がり、ボコボコにされても助かった、大切な脇役。


ヒロミ(佐藤かよ
 色々と巻き添えを食った形の店員。
 実生活でも男子なのに女子として生きているそうな。
 ご本人には責任は無いが、サトウカヨという響きには、複雑。


トオル冨田佳輔
 美しい青年。見習い美容師。
 あの切迫した状況の中、いつ散髪系の国家試験をクリアしたのかな。
 まだ未熟らしく、探偵のリクエスト(天パをストレートに縮毛矯正)をできなかった。
 がんばれ。


極上女(麻美ゆま
 探偵を3か月ほど使い物にならない様にした悪女。
 極上のPG12だが、この程度ならテレビでもやってるか。
 探偵が女にだらしないという印象は残ったが、本筋と絡まない。よね?
 結局、誰かの差し金だったのかな?