不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

『トワイライト ささらさや』鑑賞。夫婦!親子!家族!

ささらさや原作。



40歳を超えてるクセに独り身の奴は、観ちゃだめ。
(オレのことだ)

原作
 http://www.gentosha.co.jp/book/b500.html
映画
 http://wwws.warnerbros.co.jp/twilight-sasara/index.html

めっちゃヒューマンドラマで
余りにみすぼらしい自己の人生に観てて死にたくなるほど。
(本当の死んじゃだめだぞ)


明日は休日出勤なので、今日は無理やりオフ。

宿題のひとつ『トワイライト ささらさや』封切りから
一週間が経ったので鑑賞に赴いた。

いつもの東宝日本橋

なぜかvitで座席指定できなかったので、小一時間ほど前に着いて座席を確保。
待ち時間は百貨店を物色するなど、日本橋・銀座のお散歩は楽しいよ。
(ただし買えないけどw)

錦糸町や渋谷では、ブラついて時間をつぶせない。
(怖い・・・)


・・・。


映画の感想、書かないと。

ネタバレ注意。


思い立って出かけたのでメモ帳もペンも持参し忘れた。
記憶とパンフレットなので、間違い多数かも。
眠たいけど忘れないうちにカキカキ。



洋画の代表格は『ゴースト』かな
設定としてはよくある”憑依モノ”かもしれないが
私は初めての幽霊映画で、なかなかの泣き笑いの114分だった。


都合7回観た『思い出のマーニー』も、幽霊モノといえばそうかもだけれど。


そこまで「感動の嵐」かと問われると疑問符は有った。
随所に差し込まれる”小笑い”というか”小ネタ”に
「あれ?笑っていいのかな?」と戸惑うこと仕切り。


ヒロインで主演、「サヤ」こと新垣結衣さんの魅力全開。
麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』以来の演技かな。
(職探し中の息抜きに観た、思い出深い映画だなと懐かしい)
松坂桃李君の魅力も驚いた逸品の作品)
可愛い、綺麗、美しい。
眉間のしわも健在で、全部大満足(笑)


お客さんは40人ぐらいかな。
2席ほど隣のカップルのポップコーンの食べ方が下品で閉口。
それ以外は、大人しいお客さんで、エンドクレジットまで誰も立たず
ケータイのバイブ音もせず、心地よい鑑賞環境だった。



サヤ(新垣結衣
両親と祖母、そして夫にも先立たれた不幸な人生を送るヒロイン。
(杏奈みたいと思った私はジブリ病)
乳母車のお母さんを見たら優しくしようと改めて思った(笑)

”ささら町”の一軒家は叔母さんの家だったかな。
当面の生活費すら厳しいだろうが、ここはファンタジーということで。

麒麟の翼』では大人しめの演技だったので
本作の金切声での激情的な演技は新鮮だった。
(テレビドラマは見ないので)

赤ん坊の抱き方がサマになっていたのは日頃の鍛錬だとか。
ガッキーちゃん26歳か。本当のママでもおかしくないよね。
あの授乳シーン、吹き替え無しと懇願(笑)

・・・


ユウタロウ(大泉洋
インフルエンザや水疱瘡扱いされる夫。

劇中のナレーションも担当。
語り口は、水曜天幕團旗揚げ公演『蟹頭十郎太』の講談師を思わせる江戸っ子調。
監督や、指導役の古今亭菊志ん師匠も絶賛の、落語家演技だったそうで
芸は身を助ける、亡き最愛の祖父に捧げる演技だなと思った。
しかし
芸人顔負けの話芸を誇る大泉さんにとって
”売れない”落語家役は、難しい役作りだったろう。

他人が憑依するゆえ、思いのほか出演時間は短かったが
最後の夫婦の語らいは、さすがの唸る演技だった。
「もっと夫婦喧嘩したかった」は、夫婦なら分かるのかな。
私は一生、感じることのできない感情。



ユウスケ(森蓮太郎、加藤楷翔)
天才子役(というか只の赤ん坊)
未だ独身。
というか結婚はおろか恋愛すら考えられない歳になった私だが
街中・電車・機内等で、赤ん坊の泣き声を許せるようになって久しい。

子供が可愛いとか思ったら人間おしまい。


佐野(中村蒼
”ささら駅”の駅員。
当初、面倒臭そうにサヤの乳母車を介助したり
田舎勤務の状況をエリカの店で愚痴ったり
かなり悪い印象だった。

一目惚れしたサヤの、夫ユウタロウに憑依され
最後の夫婦喧嘩の大半を担ったり
ユウスケ救出作戦では、サヤをスクーターの後部座席に乗せたり
なかなかオイシイ出演に見えた。

憑依されていた間
駅員不在で電車が運休しなかったのか気になって気になって・・・。


エリカ(福島リラ)
逃げられた夫との一人息子が自閉気味なのが悩みのシングルマザー。
水商売で生計を立てるのは、良くある設定。
(”女”が商売道具になるので現実もそうらしいが)
サヤに”現実”を見せようと佐野との合コンをセットして
逆にサヤに怒られる、意外と(やっぱり?)損な役回り。
そしてユウタロウの息子への憑依芸に気絶して
息子を通して逆に”現実”を見せつけられる。

”三婆”にも歯に衣着せぬ毒舌で対抗するが
彼女らと(そして息子ともw)サヤと義父の対決を見守るなど
基本いい人なのは分かったよ、深川監督。

電車の中で、泣く赤ん坊に激高するおっさん、いるよね〜。
思っても口に出さないのが、日本人としての美徳。


ダイヤ(寺田心
エリカの息子。
4歳になって話をしない原因は
笑わなくなった母にあると憑依したユウタロウに語らせた。
かなり漢字の多そうな長台詞もあったが
思いのほかシッカリと語って(喋って)いたので驚いた。
”三婆”と一緒にサヤを見守る姿が微笑ましい。



久代(波乃久里子
”三婆”のひとり。
地元に長い教師ということで顔が広く、逆に若者にはウザイという役柄。
田舎のおばちゃんの、良くも悪くもお節介係の代表格かな。
スズキのセニアカーで町内を移動するが、直立二足歩行もできる。
後に、家を飛び出した息子(義男)が戻って来る展開で性格が豹変(笑)
人それぞれの秘密を抉られたエリカとも仲直りしていた。


珠子(藤田弓子
”三婆”のひとり。
サヤのお向かいさんで”三婆”の覗きの拠点。
パンフレットには、憎めないトラブルメーカーとあったが
内緒話でさえ口が軽いというのも、よくある話で
現実でもよく見られる”何事にも興味深い”普通のおばちゃん。


お夏(富司純子
”三婆”のひとり。
痴呆の演技で世間を騙していたが、孫の悪事で改めた。
まさかの大泉さん憑依のキップのよい切れ味鋭い江戸っ子口調に
あぐらに足癖にと、イメージを打ち砕く斬新な演技演出。
孫は窃盗犯だが、この婆さんは終始、全体にいい人っぽい側の立ち位置。


義男(つるの剛士
久子の息子で”ささら町”を出て行ったらしい。
年賀状の住所を頼りに戻ったら実はサヤの家で
母は居ないし
誘拐と誤解され(すると思う)サヤに包丁を付き付けられるし
短時間ならが印象的な場面。
”親の先輩”として、もう少しサヤに絡んでも良かったかな。



ユウタロウの父(石橋凌
威圧感ある風貌の印象は、北野武監督作品の影響かな。
トンネルマンとして家を離れていて
妻(ユウタロウの母)の死の場にも駆け付けられず
息子に離縁され
息子とサヤの子(ユウスケ)を誘拐まがい(いや誘拐だな)の行動で連れ出し
最後は”イイおじいちゃん”になった、変わった役どころ。

連れ出したのは息子(ユウタロウ)に対する贖罪かな?
あそこまで執拗に拘る理由がイマイチ理解できなかった。
原作を読めばわかるかな。

冒頭、息子に向かっての「バカヤロー!」は
後に語った、妻にも通じる「順番が逆」の意味だったのね、で、落涙(笑)



師匠(小松政夫
まさかの小松の親分さん。
ユウタロウの師匠役。
大泉さんの語り口を完璧に真似して、サヤを激励する仕草に泣けた(笑)
現実ではシャキッとしているが、演技ではヨボヨボ度が過ぎて笑えた。



その他いろいろ
火葬場の場面、演技演出はしっとりと降雨だったが
その向こうはえらいピーカンで(笑)

メインタイトルまでが長かった。


他人の家にドカドカと上がってくる住民。
確かに昔(昭和)は、玄関や勝手口の施錠を
殊更に気にする体感治安では無かった。





思い出したら、追記する。



「ここ、泣く場面だよ」という仕掛けが散りばめられ
一方
「ここ、笑う場面だよ」については声を出して笑え
なかなか振り幅の大きい、緩急自在な脚本・演出だった。





親より先に死ねないと思わされた逸品。







おあとがよろしいようで。