不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

映画『コーヒーが冷めないうちに』観た。なんだかフワフワした...。

fuwakudejokyo2018-10-14


http://coffee-movie.jp/
https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=015946
https://www.cinematoday.jp/movie/T0023023
https://movie.walkerplus.com/mv64779/

昨年末の『探偵はBARにいる3』以来の映画鑑賞。

映画館まで片道2時間近く、それまでの3倍かかる生活となり
もう映画の趣味はできないと思っていたが
幾つか面接を受けても結果が出ないので
鬱屈とした実家での生活から抜け出ること自体が気晴らしと
遠距離を出かけた。


今回の『コーヒーが冷めないうちに』は完全ノーマークだった。
というか
映画趣味を断念する生活だったので
昨今の新作情報は極力、入れないようにしていた。
ので
いずみ包さんご推薦で気になっていた『若おかみは小学生!』も
クチコミで広まって今では大人気らしく
尚更観られなくなった。
↑それで
映画館では珍しい子供(ティーン)が多かったのかな?


原作の「コーヒーが冷めないうちに」と
続編の「この嘘がばれないうちに」は未読。


以下、思いついた感想をつらつらと。ネタバレあります。


4組の男女が織りなす人間模様。
ということで
観終わって知ったキャッチコピーは「4回泣ける」だったのかな。
私はウルッとしたものの泣かなかったけど。



◆時田数(有村架純
可愛い。
物語の舞台となるビックリ喫茶「フニクリフニクラ」の看板娘。

コーヒーを注ぐ所作は納得の美しさだった。

カップに注いだ熱々の湯気が天井で結露したり
カップにポチャンと落ちたり
塚原あゆ子監督の「水に拘る」演出が逆の意味でちょっと目についた。

感情の起伏に乏しい演出がシリアスというよりもミステリアス。
狂言回しというか、常に物語の中心・軸にあり
幅広い年齢層に支持される喫茶店というのが自然に見えた。

ってか、数ちゃん、学生だったの?
彼氏に連れて行かれただけだったのかな?

監督と脚本家が練りに練ったという
新谷君と距離が縮まる描写はドキがムネムネ死語だった。
でも
人前で接吻はないわぁ・・・。
デキ婚は無いわぁ・・・。

主な出演作で紹介された
阪急電車 片道15分の奇跡』は関西人時代に観たし
思い出のマーニー』を挙げていて嬉しかったありがとう(笑)


数ちゃんは「かずちゃん」...珍しい名前。
「外れるのはカズ」のフレーズが出てきてもうね。



◆新谷亮介(伊藤健太郎
アラタニではなくシンタニくん。

アシガールの若殿様だったのか。
どこかで見たことあるなあと思いながら観てた。

数ちゃんに次第に惹かれていく常連客という設定だが
大学生が時代感ある喫茶店に入り浸るって
なかなか変わった若者だなあーと思った。
美大生って変わり者だものね(←超偏見)

大阪駅前ビルの地下や梅田界隈に限らず
空襲を受けた京阪神にも純喫茶が幾つか残っていて
 (もしくは凝った内装で作られていて)
 (関西は喫茶店文化も華やかだった時代がある)
仕事帰りや仕事探し中に時々、行ってたの懐かしい。

システム上で不可能な、数ちゃんを母に会いに行かせるのために
 ―流さんによると、数ちゃんが自分でコーヒーを淹れても
  時空を超越できないことは試行済みだったとか―
娘・未来を数ちゃんに会いに行かせたのは
なかなかいいアイデアと思った。
...理解するの苦労したけど(笑)

大学のシーンはなんか良かった。
クレーンでなくドローンで撮影してたね。
コーン並べたり、花火大会をビルから見たり・・・オレしたかな?
...してた。淀川花火大会、宇治川天保山、奈良若草山、等々。
(まだ嫌なコト記憶されてる。故障していいのにw)

あの喫茶店、どこにある設定だったっけな。
水元公園や雪山にデートに行ってた。
恋人設定なら当たり前だがアクティブだなと思った。

美大を借りての大規模な撮影などは
静かな作品の中で、迫力というか生きるパワーがあった気がした。
人生のモラトリアム期に青春してるなあ〜♪
でも
人前で接吻はないわぁ・・・。
デキ婚は無いわぁ・・・。

新谷君も数ちゃんも一人暮らししてたのかな。
数ちゃんは天涯孤独(流さんいるけど)だし
結婚の報告?で新谷君の実家に挨拶に行ってたし。
嗚呼オレも独り暮らしの子と付き合えばよかった(苦)



◆清川二美子(波瑠)
仕草がいちいち可愛い。
三十路前の設定だがリアルでは27歳とは思えない。
思いのほか乙女ちゃんの設定で、女=難しいと再認識w

タイムトラベルが「水槽にドボン」というイメージは
原作に無く監督の発想らしいが
「いやいやいや!」と観ながら突っ込んだ。
数ちゃんの能力を有するご先祖様の誰かが
水難か溺死などならともかくね。

魔法の絨毯で時間を行き来する猫型ロボットもいるし
バナナの皮で時間を旅する公安9課の課長のような研究者もいるし
落水でもいいのだろうが。

1回目は「ワープとは森雪の服が透けること」ぐらい
何らかの常識を超越したことと思うようにしたが
3回目からはギャグにしか見えなくなった。

映画『思い出のマーニー』でアンナ改め杏奈が
原作に無い「絵を描く子」となったのは
米林宏昌監督の性格付けだったけどね。
原作のアンナはいまいち掴めなかったので
マロさんのアイデアに唸ったのも随分と懐かしい記憶。

キャリアウーマンの場面が無かったので(有った?)
キャリアアップか渡米かの葛藤が見たかったが
それはぞれで本筋からズレるのかな?

結局、見かけの年齢はともかく
実態上カカア天下の方が上手く行くのかな?


◆賀田多五郎(林遣都
朝ドラ『べっぴんさん』でドラマー・二郎を演じてた。
メガネ姿はどうなんだろう二枚目が隠れる。
優男っぽい雰囲気は出るけど。

二美子の幼馴染だが、普通のスタイリッシュカップルだった。
詳細を忘れたが、もう少し子供時代のエピソード欲しかった。

最後はニューヨークで仲良く同居。
結婚した(する)描写、あったっけ?

嫁(予定)の人生を喪失させるのだから
旦那は相当自分の仕事に自身があるのだろうなと唸った。

唯一、ハッピーエンドのカップル。


このカップルからそうだったのか忘れたが
茶店の場面は、長回しでも全体にカメラが揺れていて
(いたように見えた)
臨場感や不安感を狙ったのかもしれないが
若干、酔いそうだった。



◆平井八絵子(吉田羊)
一国一城の主として実家と縁を切れる生活自体は
(結果的には実家に戻るけれど)羨ましかった。

あれスナックなんだ。
確かに居酒屋やキャバレー、バーではないけど。
 https://allabout.co.jp/matome/cl000000005158/
大学生でもスナック行くんだね。
ボラれるのが怖かったから宅飲みが多かったかな。忘れた。

平井さんは過去に戻る時に、水中眼鏡(ゴーグル)と耳栓を装着。
これも原作になく撮影中に生まれた性格付けだそうな。
ちょいちょいと挟まれる小笑いがイッテQっぽい
「いい話でも絶対に感動させない」作りでテレビマン映画だなあと(笑)

4組で唯一、肉親が死ぬ。
(数ちゃんは母が既に死去してる)
過去に戻っての妹への懇願場面は唯一ウルッと来た。
ガッツリ泣かされるよりは、こういう緩急のある方がいいけどね。


◆平井久美(松本若菜
初見の俳優さん。
めっちゃ可愛い(笑)

献身的に姉を迎えに来るものの
まさかの交通事故死で突然のクランクアップ。
死んで退場って、爆発オチのようで冷めるんだよね。

姉が余りに頑なで「お姉ちゃーん」と嘆く姿が本当に可哀想だった。

真田丸』で1年間見たこともあり羊さん支持派の私でも
羊さんダメだよって思った。
私のように全喪失で戻るのではないのだから帰らないと
と思った。

妹の思惑通り「美人姉妹が切り盛りする旅館」で売り出せたら
良かったかもしれないが
「姉と親との対立」を乗り越えさせるのは相当、苦労したと思う。


死別という救えない幕切れなので
スピンオフ(あればね)は生存ルートを希望する。



◆高竹佳代(薬師丸ひろ子
鈴木トモエ、鈴鹿ひろ美、食彩の王国

コーヒーにミルクを入れる時の可愛らしい仕草の意図は
原作未読でもなんとなく分かった。
実にチャーミング。
若い俳優さんには難しい年輪の可愛らしさ。

房木さんと姓が異なるのは
書類上は離婚はしてないけれど
実態として結婚してる自覚が無いからだよね。

トイレから戻る幽霊(笑)を何気なくブロックして
平井さん(だったかな?)が過去に行く時間を稼いでいたのも
ツアコンで鍛えられた無自覚な優しさなんだろうか。


若年性アルツハイマー病(痴呆・認知症)の設定は
「実家の母がこうなったら辛いなあ」となり
途中から集中できなくなったんだけどね。

親が不健康というのは
子供の人生を狂わせる大きな要因で困る。


◆房木康徳(松重豊
最初、本当に介護士かと思った。
探偵はBARにいる」の渋さを封印し飄々と悩める夫だった。

自分の配偶者が認知症になったらどうすんの?
と、友人夫婦に聞いてみたいと思った。

冒頭から何度かあった坂道で挨拶する老紳士は
房木さんだったよね。
違うかな?

自分を誰とも分からない奥さんに
サラッと「2回目のプロポーズです」(だったかな?)カッコよかった。

3回目となる過去に行くために入水儀式、こっちが緊張した(笑)

将来的にはアンハッピーエンドのカップルなのかな?
オムニバス映画『Anniversary アニバーサリー』内での萩原健太郎監督の作品
「五十年目のシンデレラ」の夫婦のように
奥さんの認知症が進行したら救えないわ・・・


私はできるなら、母を施設に入れると思うよ。
費用負担面などで相当厳しいとは見聞きするけど
火事や事故など起こしてからでは遅いからね。

私自身が痴呆になったら安楽死できる薬を点滴してくれ。



◆時田流(深水元基
人間も幽霊も分け隔てなく接するし
能力者・時田家の女性陣を支える名バイプレイヤー。

予期しない妊娠の時は多少怒ったが
鈴木オートの則文さんようにブン殴ることもなく(笑)
「数ちゃんも幸せになってもいいんだよ意訳」として理解ある人だった。

真田丸」での印象は、洋羊コンビ等で正直薄いが
色んな役のできる人なのね。
https://mantan-web.jp/article/20160826dog00m200054000c.html
知ってよかった俳優さん。


◆夏服の女(石田ゆり子
「ホラー喫茶」で過去に戻れる席にいつも座る謎の女。
早い段階で数ちゃんの母親とは思った。

無言だし、所作が不気味だし、十分にミステリアスだが
「幽霊なのにトイレに行く」という設定で冷めた(笑)

空気が読める幽霊という裏設定があるそうで
数ちゃんの成長を見守ってたそうな。

見た目が若いなあと思ったら死んだ当時の姿なのだから
そりゃ若いわけだ。
こういうのミステリーに慣れてないんだよなー。

クライマックスの母子のやりとりは
カメラ複数台による一発撮りだったのかな。
なかなか迫真で、親子の絆というか裏切りの恨みというか
越年の愛憎入り乱れる感情が上手だなあと思った。

主な出演作品に『コクリコ坂から』を挙げて頂き感謝。


後にレビューを読むと
「4回」のうちの最高の泣きポイントらしいが置いてかれた。
周囲は男女・年齢を問わず、かなり泣いてたけど
私は、ついに落涙することは無かった。

実家への帰郷を強いられたこの半年で相当、性格が歪んだ。
 (歪んでるのは前からだったな)
 


◆未来(みき)(誰?)
数ちゃんと新谷くんの娘。
予想外に”居そうな子”だった。

確かに超人どうしが結婚した訳ではないのでこれでいいのだろうが
小出恵介長澤まさみ から 川口春奈 が生まれたように
 http://www.kinenote.com/main/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=70418
もう少し有名女優を当てるのかと思ってた。

この女優さん、なんていう子?

みきちゃんは本編最終盤まで、数ちゃんのお腹の中にいるので
生まれて10数年後の未来(みらい・うぃる)から
過去(つまり今・なう)にドボンと来てもらったってこと?

母子が協力して母(祖母)に会いに行く3世代のドラマ。
私は世代を繋がなくて誠に申し訳ない。

エンドロールの「娘の成長記録」は良かった。
実にありがち(笑)
ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズみたいで、いいよ。


YUKIさんの主題歌「トロイメライ」も聴き応えがあった。
お客さん、最後に明転するまで誰も立たなかった。


音楽が良かった。
当て方はちょっと狙い過ぎな編集に思えたけど。
後でパンフ読んで「白金の夜明け」作曲編曲の横山克さんだった。


そうなんだよ、
「過去は変わらない」(死んだ人は生き返らない)が
「未来は変えられる」んだよ。
この作品のテーマは。

キャッチコピーの
「あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか?」は
まあ...別に誰に会いたいか居ないけどね。


スッキリした!とか
泣けた!とか
特にコレといった感触のある作品ではなく
不思議な浮遊感のある映画だった。

クラゲになった気分というか。
 (私は金槌なんだけど)



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