不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

『そらのレストラン』観た。試される大地で生きる男たちの物語。

連載中

都落ち
ペーパードライバー

富岡町・浪江町

 

そらのレストラン公式サイト

https://sorares-movie.jp/

 

大泉洋さんのファンなので観た。

いつものように予習してない。

 

罵詈雑言の蔓延るランキングサイトのコメント欄は見てない。

ナタリー
シネマトゥディ

緑井の東宝で上映していないので

というか「八丁座」で観たかったので

休み明けに(毎日休みだけど...)福屋に向かった次第。

椅子が豪華。

隣のお姉さんがムシャムシャするのも気が散らない距離感。

店員さん(チケットカウンター、案内係)も丁寧。

防音扉が1枚なので隣の上映が終わると賑やかになったが

それもまた一興。

 

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ロビー

久々にチケットとパンフレットを現金払いした。

 (東宝交通系ICカードが使える)

大都会広島の中心部でもキャッシュレス社会論はこんなもん。

 (クレカは使えたかも。表示なく確認してない)

 


北海道三部作(?)の前2作『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』は

三島有紀子監督のエッジを削ぎ取った画が好きだった。

本作の深川栄洋監督は『トワイライトささらさや』を拝見して以来。

今回はおっさんの集団演技が多く

家族が中心だった前2作とテイストは異なるが

北海道の自然と人々を美しく撮る所は受け継がれていると思った。

 (↑偉そうに書いたけど意味不やね)

 

実在する「せたな町」って知らんかった。

水曜どうでしょう』の「212市町村カントリーサインの旅」で出たかな?

 このシリーズは『探偵はBARにいる』と同じく「町おこし」だよね。

リアルUFO出現スポットだそうで脚本に反映されているのね。

そして

実在の農家集団をモデルにしているとか。

劇中で「農業は一人でやっても辛いだけ」と誰かが(←そこ大事!)言ってて

大規模化して農業法人化するのは合理的なのかと思った。

 

「1日限りの野外レストラン」って

雨が降ったらどうすんの?という

とてもつまらないことを思ったのは内緒。

 

にぎにぎしく引割幕が開いて開演。

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御開帳前

 

設楽亘理大泉洋

 「わたる」読めねえ...

 主演。 相変わらず男前。もはやいぶし銀。

 遺産相続で酪農を継いだのは実家がデカくて困ってる自分に重なった。

 新入り神戸くんにサラッと「食べる」と言ってて

 「いただきます」の一言をゴネるモンペの悪い躾を思い出した。

 確かに牝牛だけでなく牡牛も産まれるんだよね。

 チーズ工房が家内制手工業・職人技なのも初めて知った。

 もう少し産業として製造方法などが確立されていると思ってた。

 営農仲間の芳樹は幼馴染だよね。

 本気でぶつかってくれる友人がいる幸せは失わないと分からないよ。

 
設楽こと絵本上まなみ

 はい可愛い(笑)

 本上さんの映画、初めて観たかも。

 押しかけ女房に滅法好かれる大泉さん。

 本作は男の友情物語と見えたので 

 前2作ほど主人公に寄り添ってない妻とに見えたが

 (廃業の決断も相談されてなかったり)

 キービジュアルは何気にセンターなんだよね。

 やはり配偶者の存在は偉大なのかな。 

 (芳樹は離婚したらしいが甲介は愛妻いる)

 

設楽潮莉(庄野凛)

 はい可愛い(笑)

 『パン』の未久ちゃん(八木優希)のような境遇でなく

 大自然に純粋培養される生育環境でよかった。

 でも周囲に同年代が居ないのは先々で困るだろうな。

 「3月のライオン」の島田さんのような過疎地の希望の星のような感じ。

 リアル営農集団ではどうやって学習環境を解決してるんだろう?と

 これ観ながら思った。

 北海道のみならず少子化で苦しむ地方都市共通の悩みかもね。

 

神戸陽太郎岡田将生

 ザ・ハンサム枠。

 『プリンセス・トヨトミ』『ひみつのアッコちゃん』以来だが

 ナヨっとしてるが骨のある好青年像が見事だなー。

 羊飼いなのに羊を食べられなかった前半は

 農業高校で飼育する動物(家畜)に名前を付けないアレだよね。

 ここまでの農家は服が余り汚れてない。気がした。

 ウチの実家は戦後しばらく鶏を飼っていたそうで

 最後は自宅で締めていたそうな。 

 確かにチキン系の料理は余り食卓に出なかった。

 (でも玉子はよく食べる、食物連鎖の頂点に君臨する人間の二面性よ)

 

石村甲介マキタスポーツ

 こちらも映画は初めて拝見したが

 コメディアンと思えない渋い演技で正直びっくりした。

 芸人は役に憑依しないとモノにならないので当然かもしれない。

 年齢や入植歴で営農集団のまとめ役的な存在として

 アトピー残留農薬など社会問題の提起役の狂言回しも担っていた。

 大谷の病を口止めされ営農集団で難しい立場だったが

 後に理解され再び団結する核となる人物に見えた。

 主人公はこの集団のセンターではなく主要なパーツのひとつ。

 学生時代の女性部員がアトピー酷くて辛そうだったので

 食べ物の育て方は、生産者にも消費者にも古くて新しい課題だよね。

 

富永芳樹高橋努

 声が森崎博之リーダーっぽくて焦った。

 こちらも初見と思ったら『阪急電車・片道15分の奇跡』に出演されていた。

 亘理の幼馴染として何かと辛辣な指摘だったが

 トラクターで迎えに行ったり、大事な師匠からの鍵を預かったり

 営農集団に欠かせない仲間として支えている実はいいやつ。

 ここの無農薬トマトを神戸の羊が食べてる循環。

 主演とイケメンは小奇麗だが、芳樹と甲介のツナギはいつも泥まみれ。

 実家がまだ農地を持っていた時は祖父母の手伝いしたなあと思い出した。

 

野添隆史(石崎ひゅーい)

 間違いなく初見(笑)

 営農集団の漁師という立ち位置からか一歩引いた仲裁役だったね。

  「イカ釣りは夜間なので日焼けしない」って

 よく考えたら当たり前だけど、ハッとするセリフだった。

 海が荒れて漁ができない冬は何してるだろ。調べよう。

 一連のUFOのくだりは実話の反映とはいえ、どうなんだろ?

 地元に根付いた舞踊っぽくて、それはそれで面白かったけど。

 CGで合成したら安っぽくなるが招待客も含めて何か欲しかった。

 

朝田一行眞島秀和

 『くちびるに歌を』のダメな父親とは似ても似つかない

 明らかに言動が怪しい謎のカリスマシェフ。

 でも「居そう」だよね。テレビ受けしそうなイケメン風貌だもの。

 営農集団が産品により自信を持てる動機付けになる大事な人。

 他者に認められる・必要とされるのは人間の根源的な欲求だし。

 札幌から頻繁に往復した交通費も含め

 有名シェフの派遣費用でこのレストラン破綻する(笑)

 時代のアイコンとなる人が取り上げることで

 この循環農業が産業として確立できたら全員が win-win だよね。

 

石村美智安藤玉恵

 『探偵はBARにいる』のセクシーダイナマイトボディは控え目。

 アトピーを治療する甲介を支える(元)看護師。

 (患者と医療関係者の結婚ってどこかで聞いたな...)

 亘理の師・大谷を皆に内緒で看病していたそうな。

 出番は少なかったが、居るだけで画が安心する俳優さん。

 

稲熊鈴井貴之

 役者・映画俳優としてのミスタさんは初見。

 映画企画サイド(笑)の粋な計らいで出演したとか。

 農業関係の部署は、減農薬・無農薬に対して

 他の農地への病気の伝播が気になるのかな。

 指示通りの小さな演技でも存在感抜群の小役人だった。

 なんとなく客席も小笑い。

 そう、内容はまあまあ深刻なんだけど結構笑えた。

 5人のうち1人が辞めると残る4人へのウェイトがね。

 (どこかで聞いたような話だな...)

 

大谷佐弥子風吹ジュン

 『コクリコ坂から』(声の出演)海ちゃんの母や

 『海街diary』海猫食堂のおかみさんの印象が強いよね。

 足腰が弱い独居の老人は

 映画冒頭で紹介された雪深い当地の生存環境では死活問題なので

 夫と死別して札幌に転出したのは賢明な選択。

 その亡き夫のチーズ工房の鍵を こと絵に預ける判断も。

 地域産業の継承に資する資源(遺産)の有効活用。

 

...でも、その鍵を芳樹に預けた こと絵の判断はどうなん?と思った。

妻より友達の方が思い直してくれると思ったのかな?

『なみだ』はともかく、『パン』では濃密は夫婦愛だったので

本作はかなりアッサリ目に感じた。

とはいえ、 こと絵が亘理をガシッとハグした所は羨ましかった←


大谷雄二小日向文世

 『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの嫌味な実父や

 『真田丸』の狂気の豊臣という、際どい人物を演じる印象が大きいが

 亘理の師匠役は寡黙な職人だなーとスッと入った。

 遺言は「自分のチーズを作れ」だったかな。

 言葉でなく背中で語る、今時は受け入れ難い昭和人間っぽくも感じだ。

 自宅での突然死は不審死なので警察が入るので

 第一発見者の亘理はその後しばらく大変だったろうなと思った。

  ...ってか、受注生産のチーズ作るだけで食べて行けるのかな?

 

そうなのよね。

この北海道シリーズで共通なのは「それ、儲かるの?」(笑)

パリッとサクッとの感触は香りそうなほどの飯テロ映画なのだが

「銭の匂い」がしない。

ワイン農家や酪農家は実在するので、ともかくとして

あんな辺鄙な地のオーベルジュやっていけるのかなと(超偏見)

 

 

でも、幸せな126分よ。

 

 

 

 

続きはおいおい。