不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

『青天の霹靂』観た。なんか・・・良かった。

青天の霹靂チラシ。


とても映画ファン(邦画専門)と名乗れない、今年最初の映画鑑賞。
http://www.seiten-movie.com/
http://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=010913
http://natalie.mu/owarai/pp/seitennohekireki


日課である寺社仏閣参拝の後に
出来立てピカピカ、三井不動産コレド室町2「TOHOシネマズ日本橋」へ赴いた。
http://news.mynavi.jp/articles/2014/03/18/toho/
http://mi-mo.jp/pc/institution.php?iid=0018

消費税増税に伴い1,000円から1,100円に値上げされたとはいえ
週末の「TOHOシネマズデイ」ということで、上映各回は満席ばかりだった。
映画産業がんばれ。

キャッチコピーは「笑いと、たぶん一粒の涙の物語」とあったが
私は三粒ぐらいあった。
公式サイトの「止まらない」程ではなかったものの
(そんなおっさんいたら気持ち悪いでしょ?)
「一粒」では、なかったよ。


例によって本編の予習は、まったく無し。

例によってパンフレットにメモを取ったが、まとまらない程に胸いっぱい。
ベタな表現をすれば親子愛・夫婦愛が主軸にあり
私には辛い脚本だったが
人が幸せを感じる瞬間ってこうなのかな?
という96分だった。


やるな、劇団ひとり監督。






一応、ネタバレ注意。
(記憶と走り書きなので間違っているかもよ)
(正しい見方は、他の皆さんの感想をご覧下さい)


いつも通り長友のポジションに席を取り
長い長い特報(広告)に辟易しつつ、少し短い本編を楽しんだ。
(余談)
スタジオジブリの最新作『思い出のマーニー』の予告もあった。
借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌監督の第二作目として楽しみ。
ちなみに『アリエッティ』や『コクリコ坂から』(宮崎吾朗監督)は
90分台だったが、『風立ちぬ』(宮崎駿監督)は126分
かぐや姫の物語』(高畑勲監督)に至っては137分なので
本作は結構「アッという間」と感じた次第。



轟晴夫(大泉洋

冴えないマジシャン人生を歩む主人公。
走る姿は『探偵はBARにいる』を
物静かに語る姿は『しあわせのパン』を思い出した。

指先を流れるように舞う美しいコインマジックに始まり
スプーン曲げ、カードマジックなど、次々と技を披露。
監督の強い要望で吹き替えせず挑戦したことで
違和感もなく説得力のある演技に引き込まれたのだと思う。
過酷な練習による不機嫌さも活かした撮影だったとか。

畳みかけるセリフがいちいち泣かせる。
晴夫のモノローグにはじまる(パンフレットにあるね)
「生きるって難しい」「何のために生きているのか分からない」や
「家庭を持つ=普通の生活」を得ることの困難さも言ってたように
現在を生きる人、既婚者でも、若者でも共通する、普遍的な悩みを感じる人は
ここもグッと引き込まれるのではないかな。
(ないかな)



現代。
スーパーで値下げシールが貼られるのを待ったり
住まいのボロアパートの水道管が破裂し部屋が水浸しになったり
境遇の厳しさを数分間でパパッと見せる展開にも引き込まれた。
そうそう
シールの有無は気にしないとうそぶいたり
パンのソーセージを落として水道で洗ったていたり
プロとはいえ売れないマジシャンの悲哀に胸が痛んだ。
(東京には3秒ルール無いのかな?)


過去へ。
「雷ドーン!でタイムスリップ」は、常套手段・王道らしいが
終盤の、自分が生まれる日が雨ということで落雷を
時空を超える仕掛けにしたのだろうか?

落ちている新聞にソロリ、ソロリ、とカメラが近寄り
昭和48年10月5日と分かり時代を超えたことを確信した描写は
私は面白かった。
そして
日めくりカレンダーや、白黒テレビがカラー放送に移行したり
悦子が参拝する神社が紅葉〜雪景色〜桜吹雪に移ろうなど
小道具で徐々に時間経過・真実を知る
丁寧な常套手段が楽しい。
落とした絵馬を見つける偶然は、ニュータイプだったが。

この1973年に実物の大泉さんは生誕しているので、晴夫は後輩にあたる。


これから自分を産むことと引き換えに死ぬ母を止めるために
父に堕ろせと迫る。
自分がこの世から消えることになるのだが
タイムパラドックスというあれ)
(晴夫はマジシャンなので理解していたのかな)
「自分の価値」を見出せない故の直情。

病室で、死を悟った母から「自分(悦子)の価値」を問われ
「生きる理由です」と静かに、しかしシッカリと返してあげた。
タイムスリップ前の「自分はなぜ生きているのか?」から
「自分はこの人のために生きなければいけない!」と自覚した瞬間。
(違うかな?)


母に促され、自分の宿る母のお腹を触る姿は
晴夫から現実でも父となった父の顔になっていたように見えた。
なんか、すごく自然な表情に見えたの。
(大泉さんは役者なので私が見る姿は素顔ではないかもしれないが)

役者さんって凄いなーと思うの。


クライマックスは、正太郎と悦子の子つまり自分自身誕生の日。

華やかなテレビのオーディション。
それまでの浅草の小屋での、カタコト似非インド人の芸は
水曜どうでしょう内での怪しいモノマネに見えたが
ビシッとタキシードを着込み次々と手品を披露する姿は実にカッコイイ。

最後は父直伝?の「フライング・ローズ」を披露して”消えた”。

紙製の白い薔薇から、生花の赤い薔薇に変化したのは
手品だからといえばそれまでだが
悦子が病室で希望した本物の花を贈ったということでいいのかな?


雷ドーン!で現在に帰還。
新型スカイライナーを数秒見せた演出は、東京近郊の人は分かるだろうが
少し「?」というようにも見えた。


現代に戻り、なんやかんやあり、ホームレスになった父とご対面。
カットバックというのかな、過去の時代に同じ河川敷で
父(コンビの相方)に「ありがとう」を謝意を伝えていた
というシーンがあったが
現代なのに父の姿が若かったのは、実は晴夫は落雷直撃で死んでいて
あの世(天国)で父に感謝を言ったのではないかなと思った。

考え過ぎだろうが、ここが謎。
過去の著名な作品のオマージュかしら。



キービジュアルの、ふてくされたっぽい表情の大泉さんの「ありがとう」で
エンドクレジット(スタッフロール)突入。

最初は「えっ?もう終わり?」「親父さんは?」などと思ったが
真面目にマジシャンとして生きたのか、やはり迷いながら生きたのか
その後の晴夫の人生は興味深いなという余韻はあった。


自分の親に「ありがとう」と言う前に、やや痴呆の気配が見え始めたので
後悔ばかりの気分だったのも、感想がまとまらなかったのかもしれない。
(このエントリー自体もまとまっていないが)
皆さんには
「喋れるうちに喋っておく」
「聞きたいことは聞いておく」
「ボケる前に感謝を伝えておく」
これ大事!と訴えたい。





花村悦子(柴咲コウ

美しく、可愛く、そして可憐。
晴夫がちょっかい出そうと思ったら人妻と分かり愕然。
更に話が展開し母だと分かり愕然。

夫・正太郎に、何度もビンタを喰らわす鬼嫁姿にドキッ!とした。
怒る演技が上手。あの鋭い眼光を放つ瞳にメロメロ(笑)
私のドM心が揺さぶられたほど(笑)


晴夫の助手を務めた時のチャイナドレス姿がキュートでセクシー。
後半、季節を次々を経た妊婦姿も愛おしい。
三つ編み姿で静かに編み物をしている姿もね。

パンフレットに衣装さんのコメントがあったが
現実の妻・大沢あかねさん云々は置いといて
ひとり監督の理想の女性像は「凛とした美女」なのかなと思った。


胎盤剥離は聞いたことある専門用語。
父・正太郎から「母は出て行った」と言われてきた晴夫は
自分を産み死亡したと知って「話が違う」と狼狽。
(夫・正太郎も狼狽していたが)

来たるべき我が子への編み物しつつ
キッとなりテーブルの物をガシャーン!と跳ね飛ばすあれ。
映像としては無かったが、正太郎から病状を聞かされた
不安や行き場の無い怒りのような心境が分かるよね。


現代でも出産は、かなりリスクのある行為とは理解しているが
その当事者になる予定は、後にも先にも無い!
悲しひ・・・。


お腹の子に歌っていた「ねーんねーこー♪」の子守歌
他の映画でも聴いたと思う。
当時の流行歌なのかな。今でも歌い継がれているのかな。


目の前の出自不明な青年(中年)晴夫が
自分の子供だと悟ったのは、いつのタイミングだったのかな。

酔った時などに晴夫がボヤいた「巨人V9」「ユリ・ゲラー」などから
未来から来た不思議な男だと分かり(?)
死を覚悟してなお「私の未来が見えますか?」と
「自分の価値」を晴夫に問う勇気に、心が揺さぶられたというか何というか。

我が子から「生きる理由」と最大級の賛辞を受け
コウちゃん号泣。
泣く人は泣く、泣かない人は至ってドライという雰囲気だった場内は
いっきに泣きモードになった。
気がした。

私にとっては、ここがヤマ(クライマックス)だった。

陣痛が始まり分娩室に向かう際
(なぜか看護婦が全員分娩室に入りほったらかしになった)
二人きりになり、ビンタしまくった正太郎に対し
チョコレートを盗み食いするなと必死に伝えた悦子と
「?」の正太郎の、表情の対比・情報量からの擦れ違いが
なんだろう・・・良かった。


悦子の最期は、手すりから手が離れて、そういうことを表現。


穿った見方だが
これを観た若い女性が、母になることをためらわないように
何等か現実世界でのリスク発現の確率を出せると良かったかなと老婆心。
例えばこのPDFなど。





轟正太郎(劇団ひとり・監督兼出演)

ビートたけしに憧れて芸人になったの知らなかった。
なので、舞台を華やかなりし頃の浅草にしたのか。

麒麟の翼』では小心者の先生役だったね。
脚本・監督・出演もする多彩な芸人としては
『ピーナッツ』の内村光良さんを思い出した。
ウッチャンは脚本・監督・主演だった)


タイムスリップ前には遺骨で出演だったが、ところがどっこい。
そう来たか監督。

登場早々、晴夫に負けない滑らかなコインマジックを披露。
(逆だ、正太郎が晴夫に教えたのだよね)

悦子が正太郎の何処に惚れたのか分からなかったが
妊婦の嫁を放って家を出るなど最初、グータラで薄情者に見えた。


支配人の指示で、晴夫とコンビを組み芸人として売れたり
マジともネタとも分からないケンカ漫才(喧嘩マジック)したり
色々と笑う場面はあったが
本作の中では「笑い」自体は、さほど重視していなかった様子。

親子(正太郎と晴夫)でネタ合わせの場面もあったが
あくまでも、うどんに振り掛ける山椒のように私には見えた。


バカ売れしていた晴夫とのコンビも
嫁のために真っ当な仕事に就くという理由で、あっさり解消。
ラブホの清掃バイトも、芸人よりは安定しているのかな。


悦子の病室で何気なく作った白い薔薇「ペーパーローズ」は
最後に出てくるキーアイテム。
パンフレットで紹介されてた紙ナプキン製でなく
病室の片隅にあったティッシュペーパーで作っていなかったかな?
ここコウちゃんに見とれてた。


ラストのホームレス姿は、わざとピンボケにしたのかな。
別人だったのかな。
やはり死んでいるということなのかな。

こういう仕掛けが分からないのが悩ましい映画ファン。





雷門ホール支配人・丸山(風間杜夫

真面目に見たのは『スチュワーデス物語』の「教官」以来かも(笑)

500円玉が通用しない、テトラパックなど説明不要の展開があり
居酒屋で「鯨肉を食って芸を磨け」と小屋の芸人に檄を飛ばした。
メシはモノ以上にイメージが湧くよね。
私が小学校の頃は給食にもクジラ肉が出ていた鯨食文化があった。
今の若者は知らないだろうな。

物語の初めに登場した晴夫の後輩で先に売れたマジシャンの
「オカマ≒ゲイ」にも、かけているのかな?

パンフレットにあった『蒲田行進曲』は見たことないが
このテの映画に共通する「派手で気っ風がよい親方」は
時代のキーワードというかアイコンなのかな。




産婦人科・村上医師(笹野高史

プリンセス・トヨトミ』を思い出す名バイプレイヤー。
昔は居たと思わせそうなお医者さん。
出演時間は短いが、味のある演技がイイ。
セリフがオフの場面も、そう言ってるのだろうなと分かる。




あの子供(須田琉雅)
http://theatre-academy.blogspot.jp/2014/05/blog-post_4.html
時空を超えた晴夫に、最初にこの世界を案内した子供。
丸山の子供でもないが入り浸り、晴夫のマジック(手品)に観劇するなど
悲哀になりがちな展開を上手に和らげた役柄に思った。




主な登場人物は、この「6人」と思った。
パンフレットや各サイトでは5人の扱いだが
あの子は重要と思った。


後は
晴夫のマジックバーでの
嫌味ったらしい売れた後輩(柄本佑)と
テレビ局のプロデューサー(入江雅人)と
店長(ナポレオンズ小石至誠)

劇場の芸人で花見に行った時の芸人たち。

わらわらと群像劇にならず、焦点を絞れたので、より一層、感情移入できた。
(と、分かったようなことを)




音楽(劇伴)担当は佐藤直紀さん。
スタッフロールで分かったが、今回も唸る曲の数々。
ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで認知した作曲家。
ペペ&チンが笑いを取りコウちゃんが倒れる
生と死が交錯する場面の劇伴(サントラ)が特に良かった。




とりあえずこのぐらい。
ワールドカップ見ながら思い出しつつカキカキ。
負けて凹んでカキカキ。
午後からは試験勉強しようっと。




おしまい。


ためになる感想の一例。
http://syuraw.hatenablog.com/entry/2014/05/25/022333
http://blogs.yahoo.co.jp/sugimantaroprofit/40257109.html
http://kagehinata64.blog71.fc2.com/blog-entry-759.html
http://images2.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-c84f.html